「ヴィデオアートの父」と呼ばれるナム・ジュン・パイクは,1978年,交換留学生としてモスクワで映像制作を学んでいたディミトリ・デヴィアトキンとともに,「メディア・シャトル:モスクワ/ニューヨーク」を発表した。当時,東西が対立しているとされた冷戦下で,もし,ニューヨークとモスクワの人々が一種の市民バンドのテレビチャンネルを持ち,人工衛星によってお互いを見て,そして話をすることができたなら何が起きるだろうか?,そんな発想から作られた28分11秒のムービー作品である。
Media Shuttle: New York - Moscow (Vimeo)
https://vimeo.com/25594961
Electronic Arts Intermix : Media Shuttle: Moscow/New York
http://www.eai.org/title.htm?id=575
マスコミが一方的に放出する情報は一つのプロパガンダである。しかし,同じテレビシステムであっても,構築方法を変えることで,異なる機能を持たせることができるはずだ。
パイクはその後,1984年になると,近未来の管理社会を描いたジョージ・オーウェルの小説「1984年」にちなみ,「グッドモーニング・ミスター・オーウェル」と名付けたイベントを開く。ニューヨーク・パリ間を衛星回線で結び,ヨーゼフ・ボイス,マース・カニングハム,ジョン・ケージといった芸術家らとともに,ローリー・アンダーソン,ピーター・ガブリエル,トンプソン・ツインズなどのポップスターを登場させた。また,1986年には,ニューヨーク・ソウル・東京(テレビ朝日)を,やはりサテライト回線で結んだ「バイ・バイ・キップリング」を実施し,これには坂本龍一らが出演している。なお,キップリングは,「東は東,西は西」の言葉で知られるイギリスの小説家である。
Nam June Paik - Good Morning Mr. Orwell (1984) (YouTube)
https://youtu.be/SIQLhyDIjtI
VIDEO ART 1984 -1(Video Art 1984より) (YouTube)
https://youtu.be/hKP0DgwRzyU
VIDEO ART 1984 -2(Video Art 1984より) (YouTube)
https://youtu.be/avNAYfFwQs4
VIDEO ART 1984 -3(Video Art 1984より) (YouTube)
https://youtu.be/DhX0ajY8jZI
※これらは,日本語コンテンツである
グッドモーニング ミスター・オーウェル、1984から2014まで(イム・サン)
(「Koreana - Winter 2014 (Japanese): 韓国の文化と芸術」より)
https://issuu.com/the_korea_foundation/docs/koreana_winter_2014__japanese_
※p.30以降に「グッドモーニング・ミスター・オーウェル2014」展の紹介記事がある
衛星による国際市民チャンネルの試みは,ここで現実のものとなった。パイクは既に,1965年,当時登場したての家庭用ヴィデオカメラとレコーダーを購入し,その日のうちに,初めてニューヨークを訪問したローマ法王パウロ6世の乗った車を撮影し,すぐに,その映像をグリニッジ・ヴィレッジの"Cafe au Go Go"で上映したと伝えられている。これは,ヴィデオによる最初の独立メディアと言えるだろう。
さらに遡って,1963年のヴッパータール(独)における最初の個展では,信号が乱れたテレビ映像を展示,次いで1965年頃には,テレビの電子ビームを磁力によって歪め,「美しい」模様を作り出すことに成功している。その後,1969年から71年にかけて,阿部修也とともに「パイク=アベ・ヴィデオ・シンセサイザー」を完成させることになる。これらはすべて,マスコミによる一方的な押し付けTV映像に対抗し,これに「介入」する試みと見なすことができる。ヴィデオアートは,その誕生から,一方的に押し付けられるマスコミを批判する対抗運動なのである。
"Exposition of Music - Electronic Television" Nam June Paik (1963)
http://www.medienkunstnetz.de/works/exposition-of-music/video/1/
※ムービーあり
Participation TV
http://www.medienkunstnetz.de/works/participation-tv/images/1/
Magnet TV
http://www.medienkunstnetz.de/works/magnet-tv/
Edited for Television (1975) (UbuWeb)
http://ubu.com/film/paik_edited.html
※1975年にN.Y.の公共TV局WNET/Thirteenが制作した番組,開始直後にMagnet TVが登場し,21分50秒以降にはパイク=アベ・ヴィデオ・シンセサイザーのプロトタイプが紹介される
Paik, Nam June; Abe, Shuya "Paik/Abe Synthesizer"
http://www.medienkunstnetz.de/works/paik-abe-synthesizer/
阿部修也 インタヴュー (ICC HIVE インタヴュー・シリーズ 04)
http://hive.ntticc.or.jp/contents/interview/abe
An Evening of Paik-Abe Synthesizer with Mr.Shuya Abe 阿部修也さんとパイク・アベ・シンセの夕べ(2013) (YouTube)
https://youtu.be/CwHgUy0kpHA
ナム・ジュン・パイクの仕事全般については,他にも多くのムービーがYouTUbeなどで視聴できる。
Nam June Paik | TateShots (YouTube)
https://youtu.be/5RE1ueYnSVc
YouTubeのNam June Paikチャンネル(#ナムジュンパイク)
https://www.youtube.com/channel/UCKv4Tcv7Ij6DDoyiotwCGRA
バイ・バイ・キップリング (松岡正剛の千夜千冊)
http://1000ya.isis.ne.jp/1103.html
Nam June Paik (1932-2006) (UbuWeb)
http://ubu.com/film/paik.html
※現代芸術のムービー・サウンドのアーカイブ,ここでも複数のパイク作品が閲覧可能
Nam June Paik Art Center
http://njp.ggcf.kr/
Media Shuttle: New York - Moscow (Vimeo)
https://vimeo.com/25594961
Electronic Arts Intermix : Media Shuttle: Moscow/New York
http://www.eai.org/title.htm?id=575
マスコミが一方的に放出する情報は一つのプロパガンダである。しかし,同じテレビシステムであっても,構築方法を変えることで,異なる機能を持たせることができるはずだ。
パイクはその後,1984年になると,近未来の管理社会を描いたジョージ・オーウェルの小説「1984年」にちなみ,「グッドモーニング・ミスター・オーウェル」と名付けたイベントを開く。ニューヨーク・パリ間を衛星回線で結び,ヨーゼフ・ボイス,マース・カニングハム,ジョン・ケージといった芸術家らとともに,ローリー・アンダーソン,ピーター・ガブリエル,トンプソン・ツインズなどのポップスターを登場させた。また,1986年には,ニューヨーク・ソウル・東京(テレビ朝日)を,やはりサテライト回線で結んだ「バイ・バイ・キップリング」を実施し,これには坂本龍一らが出演している。なお,キップリングは,「東は東,西は西」の言葉で知られるイギリスの小説家である。
Nam June Paik - Good Morning Mr. Orwell (1984) (YouTube)
https://youtu.be/SIQLhyDIjtI
VIDEO ART 1984 -1(Video Art 1984より) (YouTube)
https://youtu.be/hKP0DgwRzyU
VIDEO ART 1984 -2(Video Art 1984より) (YouTube)
https://youtu.be/avNAYfFwQs4
VIDEO ART 1984 -3(Video Art 1984より) (YouTube)
https://youtu.be/DhX0ajY8jZI
※これらは,日本語コンテンツである
グッドモーニング ミスター・オーウェル、1984から2014まで(イム・サン)
(「Koreana - Winter 2014 (Japanese): 韓国の文化と芸術」より)
https://issuu.com/the_korea_foundation/docs/koreana_winter_2014__japanese_
※p.30以降に「グッドモーニング・ミスター・オーウェル2014」展の紹介記事がある
衛星による国際市民チャンネルの試みは,ここで現実のものとなった。パイクは既に,1965年,当時登場したての家庭用ヴィデオカメラとレコーダーを購入し,その日のうちに,初めてニューヨークを訪問したローマ法王パウロ6世の乗った車を撮影し,すぐに,その映像をグリニッジ・ヴィレッジの"Cafe au Go Go"で上映したと伝えられている。これは,ヴィデオによる最初の独立メディアと言えるだろう。
さらに遡って,1963年のヴッパータール(独)における最初の個展では,信号が乱れたテレビ映像を展示,次いで1965年頃には,テレビの電子ビームを磁力によって歪め,「美しい」模様を作り出すことに成功している。その後,1969年から71年にかけて,阿部修也とともに「パイク=アベ・ヴィデオ・シンセサイザー」を完成させることになる。これらはすべて,マスコミによる一方的な押し付けTV映像に対抗し,これに「介入」する試みと見なすことができる。ヴィデオアートは,その誕生から,一方的に押し付けられるマスコミを批判する対抗運動なのである。
"Exposition of Music - Electronic Television" Nam June Paik (1963)
http://www.medienkunstnetz.de/works/exposition-of-music/video/1/
※ムービーあり
Participation TV
http://www.medienkunstnetz.de/works/participation-tv/images/1/
Magnet TV
http://www.medienkunstnetz.de/works/magnet-tv/
Edited for Television (1975) (UbuWeb)
http://ubu.com/film/paik_edited.html
※1975年にN.Y.の公共TV局WNET/Thirteenが制作した番組,開始直後にMagnet TVが登場し,21分50秒以降にはパイク=アベ・ヴィデオ・シンセサイザーのプロトタイプが紹介される
Paik, Nam June; Abe, Shuya "Paik/Abe Synthesizer"
http://www.medienkunstnetz.de/works/paik-abe-synthesizer/
阿部修也 インタヴュー (ICC HIVE インタヴュー・シリーズ 04)
http://hive.ntticc.or.jp/contents/interview/abe
An Evening of Paik-Abe Synthesizer with Mr.Shuya Abe 阿部修也さんとパイク・アベ・シンセの夕べ(2013) (YouTube)
https://youtu.be/CwHgUy0kpHA
ナム・ジュン・パイクの仕事全般については,他にも多くのムービーがYouTUbeなどで視聴できる。
Nam June Paik | TateShots (YouTube)
https://youtu.be/5RE1ueYnSVc
YouTubeのNam June Paikチャンネル(#ナムジュンパイク)
https://www.youtube.com/channel/UCKv4Tcv7Ij6DDoyiotwCGRA
バイ・バイ・キップリング (松岡正剛の千夜千冊)
http://1000ya.isis.ne.jp/1103.html
Nam June Paik (1932-2006) (UbuWeb)
http://ubu.com/film/paik.html
※現代芸術のムービー・サウンドのアーカイブ,ここでも複数のパイク作品が閲覧可能
Nam June Paik Art Center
http://njp.ggcf.kr/
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