2011年9月30日金曜日

牛肉汚染状況 8月25日以降9月8日まで

ブログの時系列的には後先逆転ですが,汚染牛肉の状況について,9月8日までまとめてみたので,とりあえず。

以下,厚生省の発表から
------------------------
●報道発表資料 2011年8月

20110826食品中の放射性物質の検査結果について(第171報)
自治体が公表した放射性物質の検査結果
仙台市 牛肉から基準値越えの673Bq/kg検出
埼玉県 岩手県産の牛肉から基準値越えの970Bq/kg検出
東京都 宮城県産牛肉から基準値越えの820Bq/kg検出
横浜市 福島県産牛肉から基準値越えの908Bq/kg検出
※以上の記述は,PDF書類には記載が有っても,報道発表資料ページに「※暫定規制値超過例」の記述が無く,にちゃんねる等のまとめから引用しました。
※なお,もちろん,発表が26日なので,採取(購入日)日が24日より前のものがほとんどです。ただし,ほとんどの肉は「流通品」とされているので,これが,どの段階ものもであるのかはっきり分からないと言うこと,また,横浜で見つかった福島県産牛肉908Bq/kgは,採取日が8月26日となっている流通品で,これは,解禁日以降に出荷されたものとも思われますが,とにかく,説明が無いので何も分かりません。

20110829食品中の放射性物質の検査結果について(第174報)
自治体が公表した放射性物質の検査結果
※暫定規制値超過例
No.5:宮城県産牛肉(Cs:502Bq/kg)
No.9:福島県産牛肉(Cs:530Bq/kg)

20110830食品中の放射性物質の検査結果について(第175報)
自治体が公表した放射性物質の検査結果
※暫定規制値超過例
No.51:栃木県産牛肉(Cs:1,304Bq/kg)


●報道発表資料 2011年9月

20110901食品中の放射性物質の検査結果について(第177報)
自治体が公表した放射性物質の検査結果
※暫定規制値超過例
No.159:福島県産牛肉(Cs:570Bq/kg)

20110902食品中の放射性物質の検査結果について(第178報)
自治体が公表した放射性物質の検査結果
※暫定規制値超過例
No.125:福島県産牛肉(Cs:627Bq/kg)
No.126:福島県産牛肉(Cs:863Bq/kg)
No.128:福島県産牛肉(Cs:901Bq/kg)

20110903食品中の放射性物質の検査結果について(第179報)
自治体が公表した放射性物質の検査結果
基準値超過は無いが,宮城県産で420bq,福島県産で337bq,山形県産で193bqなどあり

20110905食品中の放射性物質の検査結果について(第181報)
自治体が公表した放射性物質の検査結果
基準値超過は無いが,茨城県産で115bqなどあり

20110906食品中の放射性物質の検査結果について(第182報)
自治体が公表した放射性物質の検査結果
基準値超過は無いが,宮城県産で350bqなどあり

20110907食品中の放射性物質の検査結果について(第183報)
自治体が公表した放射性物質の検査結果
基準値超過は無いが,宮城県産で330bqなどあり
※他にも,この日の発表データには,7月・8月中に岐阜県,静岡県,宮城県の自治体が検査した牛肉などの結果が出ていて,基準値を超えていないものの,3桁の数字を出しているものもあります。
※さらに,静岡県保健衛生局が,富士宮市の牛肉に対して行なった「出荷再開時 全頭検査」と書いてあるデータは,すべて,セシウムが数十ベクレル検出されています。これは,検査機関が「(株)エコプロ・リサーチ」とあって,採取日(購入日)がH23.8.30もしくは31日で,結果 判明日がH23.9.5,さらに厚労省 公表日がH23.9.7です。

......

8月25日に岩手・福島・栃木の肉牛の出荷制限解除以降の牛肉の汚染状況を追ってみたのですが,厚生省で公表しているデータでは,26日以降の検査でも基準値超過の数値が出ています。それも,検査対象が「流通品」からだったり,規制の対象になっていない千葉,山形,茨城県産に比較的高いセシウムの値が出ています。

さらに,7月・8月中に各自治体で検査されていたものの,9月7日になってから厚生省から公表されたデータ(第183報 自治体が公表した放射性物質の検査結果)には,静岡や岐阜県産の牛肉でも,けっこう高い数値が見られます。

この件,各自治体で,即座に発表されたかどうかは未確認ですが,「汚染稲わらを食べた牛がいたけど,基準値以下だった」と言う内容の岐阜県のニュースはあるようです。
また,7月16日に,岐阜県で,「福島県産の牛肉から630ベクレルが検出された」と言うニュースはあるようですが,これも9月7日(第183報)に掲載されていて,通常なら,リスト中に基準値超えの場合は太文字なのですが,サラっと,普通の書体で記述されています。

また,暫定基準値以下でも,329ベクレル(第183報No.216)や409ベクレル(第183報No.218)という数字があって,こういうものは,積極的に公表してほしいものです。

ちなみに,この329や409の値が出た牛肉は,静岡県富士宮市産の「流通品」で,どういうわけか,検査主体が岐阜県健康福祉部で,検査機関が横浜検疫所となっていて,採取日(購入日)がH23.7.21,結果 判明日がH23.7.26,そして,厚労省 公表日がH23.9.7で,シゴトが遅いにもほどがあるって話で,それに,なぜに,産地が静岡で,検査主体が岐阜,そして検査機関が横浜なのかって,もう,仕組みも何もよく分かりません。

...,と,ここまで書いて検索していたら,この409ベクレルと言う数字,新聞記事になっているのを見つけました。
静岡新聞「JA静岡経済連、2処理場で牛肉の全頭検査」(7/28 07:52)

(記事中に「安全性が確認された」とありますが,この409ベクレルの肉をいったん海外に持ち出して再度輸入しようとすると,食品衛生法上,輸入食品のセシウム濃度は370ベクレル/キログラム以下でなければならないので,日本国内には持ち込めないことになりますね。)
(どーでもいい話ですが,80年代にロバート・メイプルソープの写真集が宝島社から翻訳出版された後,90年代になって,ホイットニー美術館で開催された彼の回顧展のカタログを米国から持ち込もうとして税関で没収され,裁判起こしたけど負けちゃった人,土屋さんだったっけ,いましたね。あの頃,何度か会って話をしました。すでに,宮沢りえも樋口可南子もヘアヌード写真集を出していた時だったと思います。まあ,これは,税関のおじさん おばさん!? のエッチ度が高い,と言う話か...)

もう一つ,9月7日公表のデータ第183報で注目されるのは,静岡県で「出荷再開時 全頭検査」を行なった富士宮市の牛肉全てから(第183報No.291から316),2桁のセシウムが検出されていて,その採取日(8月30日と31日)から結果判明まで5,6日(9月5日),厚生省による公表までに7,8日(9月7日)かかっていることです。

汚染牛肉は未だ流通中

宮城県知事の言う「(1キログラムあたり)500ベクレル以下で、どれだけ食べても全く問題がない」をさらに超える920ベクレルが,9月21日にも発表されていたので,さすがに,何度も基準値超過を繰り返しているのに,注意を呼びかけないのはいかがなものかと思って,宮城県の環境生活部食と暮らしの安全推進課 電話:022-211-2642にかけてみました。

で,「まだ基準値超えの牛,流通してんじゃん!?」と言ったら,アッサリその通り,という回答です。

食品中の放射性物質の検査結果について(第197報)
※暫定規制値超過例
No.163:宮城県産牛肉(Cs:920Bq/kg)

厚生省の報告を見ると,出荷制限解除の8月25日以降,何度も基準値超えの牛肉が登場しています。しかし,ニュースになるのは,流通ルートにのる前に,「未然に」消費者の口に入ることが防げたものだけなのです。

けっきょく,稲わら汚染が問題になる前に屠畜されたものについては,未だに,市場に流通していて,それが,稀に検査の網にかかるという話なのです。今回の宮城県産牛肉も,以前に屠畜されて流通していたものが,9月21日になってやっと,東京で検査されて判明したものです。

つまり,宮城県知事の言う「間違いなく安全」というのは,8月下旬の出荷解除後に屠畜対象になる牛のことで,その前に流通しちゃった肉に対しては,そんなこと,一言も言えない状態ということです。
危ない肉を探しているけど,まだ,全部検査して回収できてない状態ということです。

お店で買う時に,屠畜日なんて,確認できませんね。
その上,最近では,産地表記が消えて,単に「国産」と書かれていたり,個体識別番号もプリントしていない肉があったりします。

※参考資料:
宮城県知事定例記者会見(平成23年8月22日)
-----------------------------------------
◆Q
一番心配なのは価格の面だと思うが、知事はこれで消費者に対して県産牛の安全性は完全に確保されたと言えると考えるか。

■村井知事
万全だというアピールはできると思います。1頭1頭、全頭精密な、最も信頼のおける検査をした上で、安全だという証明書をつけて競りにかけるわけでございますので、間違いなく安全だと言えると思います。
-----------------------------------------

この知事,ホント,よく言うよマッタク,な話です。

また,今回のことで,「意外に肉の流通期間は長いんだというのが分かった」と言ったら,向こうも「そうなんですね。私も十分に把握できてなくって」という言葉が返ってきました。いつまで,汚染肉の流通が続くのか,これでは誰も分かりません。

ちなみに,宮城県産に限らず,また,厚生省の報告を見ていると,広範囲で汚染されている牛肉を確認できます。つまりは,マスコミも行政も食肉業界もグルになって,市民に汚染肉を食べさせようとしているわけですね。もし,関係の皆さんで,「そんなわけはない」というのでしたら,どうぞ,反論を下さい。